近年、社会的弱者を対象とした犯罪や虐待が増え続け、そういった予防のために多くの国が背景調査システムを導入しています。
イギリスにはDBS(Disclosure and Barring Service)という制度があり、雇用主がより安全な採用の決定を下し、子どもやリスクのある成人(高齢者や障害者)などの脆弱なグループと働くのに適さない人物を防止するために設計されています。
DBSとは前歴開示・前歴者就業制限機構のことで、イギリスで2012年に確立された制度で、学校や保育所などの子どもに関わる職業および活動を行う使用者側が就業希望者の犯罪歴の照会を行うことを義務付けます。
https://kyoiku.sho.jp/272011/から引用
一方で、つい先月2024年3月19日に日本での国会にて遂に日本版DBSが閣議決定されました!
今回の記事は、イギリスのDBS制度と成立間近の「日本版DBS」の比較に焦点を当て、両国の安全保障とプライバシーのバランスについて書いてみたいと思います!
目次
イギリスのDBS制度
DBSは、イギリス政府によって管理される背景調査システムであり、雇用主やボランティア機関が個人の犯罪記録を確認するために使用されます。
過去の刑事記録や警告、注意、検出された性犯罪者のリストなどの情報を提供し、雇用主が従業員やボランティアを選択する際の判断材料となります。このシステムは、特に子供や脆弱な人々を保護するために、教育、医療、社会福祉などの分野で広く活用されています。
DBSチェックには3つのレベルがある
DBSチェックには3つのレベルがあり、以下のものになります。
基本DBSチェック(Basic):基本DBSチェックは、申請者が持っている未決の犯罪または条件付きの警告の詳細を提供します。誰でも利用でき、個人や雇用主が要求することができます。
標準DBSチェック(Standard):標準DBSチェックは、基本チェックと同じ情報を提供するのに加えて、申請者が保持している過去および未決の犯罪、警告、戒告、最終警告に関する詳細を提供します。これは、より多くの責任を伴う職務やリスクのある人々と働く場合に必要とされます。
強化DBSチェック(Enhanced):強化DBSチェックは、標準チェックと同じ情報に加えて、地元の警察部門や他の法執行機関が関連性があると認めた情報も提供します。これは、定期的に子どもや脆弱な成人と接触する職務に必要です。
標準DBSチェックと強化DBSチェックの取得にはより教育や保育・医療や刑事司法などに日常的に従事してる人やボランティアしてる人であり、その機関を通して申請する必要があります。
スカウトのボランティアする際も必須だった
今は残念ながら息子もスカウト活動を辞めてしまいましたが、子供がスカウトに入団すると保護者は何かしらのボランティアをすることが必須です。
その他子供達の学校ボランティア等でもヘルプする種類によりますが必須になってきます。
その際に必ず必要になるのがこのDBSチェック。
私は過去にこういった社会的弱者グループ(子供達や高齢・障害者)がいる環境で仕事や事業をしたことがなかったのでDBSを持っていなかったのですが、こういうDBS取得に関してはスカウトのリーダーがサポートしてくれ、スカウト側から申請してくれたので割と簡単にできました。
DBS申請に必要なもの
申請に必要なものは
- パスポート
- 運転免許証 (もしくは政府機関発行の証明書)
- NIS(National Insurance number)
- 過去に5年住んでいた住所の証明(私は同じ場所だったので簡単でしたが、これが国外からや転々としてたらもっと大変かもしれません)
くらいだった気がします。
そして私の場合、スカウトのリーダーの真横で入力をしたので入力が終わり次第リーダーがスカウト機関として申請をしてくれてスムーズにことが運びました。
日本版DBS
日本では、同様の背景調査システムの導入が日頃から検討されていて、先月2024年3月19日に国会にて遂に日本版DBSが閣議決定されました。
対象とする事業
義務 | 保育園・学校 |
認定 | 塾・学童保育・ベビーシッター等 |
保育園・学校以外の事業は認定という形ですが、逆に「認定」されれば更に社会的信用度が増すので今後日本版DBSを利用して雇用者を採用する事業は増えてくると思います。
比較と課題
イギリスのDBS制度と日本版DBSを比較すると、両者は同様の目的を持ちながらも文化や法律の違いから異なる点があります。
例えば、プライバシー保護の考え方や情報開示の基準が異なること、そして個人情報の管理やデータセキュリティに関する規制も、国によって異なる場合があります。
このような違いから、日本版DBSの導入にはいくつかの課題が浮上します。
適切なデータ管理とセキュリティ対策が不可欠で、更に情報開示の基準や利用範囲を明確に定めることが重要になってくるようです。
公正な手続きと透明性が確保されなければなりませんね。
終わりに
イギリスのDBS制度は、安全保障とプライバシーのバランスを取りながら効果的に運用されていますが、日本版DBSの導入にはさまざまな課題がまだまだあるようです。
ですがこれらの課題を克服すれば、日本での子育てを始め、高齢者や障害者などの日常的な安全性が向上し、更に住みやすい国になると期待しています!